Vault オブジェクトは、アプリケーションデータモデルの一部です。オブジェクトについて、おそらくすでにご存知のとおり、標準オブジェクトの多くには、製品治験およびなどの、いつも使うドキュメントフィールドがあります。アプリケーションデータモデルは、それぞれの Vault アプリケーションに独自性を持たせるために不可欠な要素です。このモデルは、それぞれの Vault アプリケーションでビジネスプロセスを進めるコンテキスト情報を提供します。

各アプリケーションには、異なる固有のアプリケーションデータモデルがあります。例えば、eTMF 内の治験施設場所製品およびの構造は、データモデルの要素です。各項目はオブジェクトです。PromoMats では、データモデルには製品およびオブジェクトが含まれます。

この機能により、管理者はアプリケーションデータモデル (製品など) 内で簡単に標準オブジェクトをカスタマイズ・拡張し、まったく新しいカスタムオブジェクトを作成して、特定のビジネスニーズを満たすことができます。

Vault オブジェクトデータモデルは以下を含みます:

  • オブジェクト: データモデル内のトップレベル。例えば、製品および治験はすべてオブジェクトです。
  • オブジェクトクラス: 複数のオブジェクトに適用される分類。例えば、ユーザロール設定およびユーザタスクは両方ともオブジェクトクラスです。オブジェクトクラスが適用されたオブジェクトには、独自の関係、セキュリティ設定およびカスタム属性がありますが、オブジェクトクラスに定義された共通の標準フィールドと操作一式もあります。
  • オブジェクトデータレコード: オブジェクト内の項目です。例えば、米国およびカナダは、それぞれオブジェクト内のオブジェクトデータレコードです。
  • オブジェクトフィールド: 各オブジェクトデータレコードに関連付けられた詳細を決定するフィールドです。例えば、適応症および製品コードは、製品オブジェクトに関連付けられたフィールドです。
  • オブジェクトタイプ: オブジェクト内の分類により、単一のオブジェクト内にある類似しているが同じではないデータを組織は保存することができます
  • オブジェクト関係: オブジェクトとオブジェクトデータレコードの階層化 (親-子) または非階層化 (参照) 関係です。例えば、治験 (親) と施設 (子) には親子関係が存在し、施設場所には参照関係が存在します。参照関係は、自己参照もでき、例えば、テリトリーオブジェクトでは、オブジェクト内で階層を作成するために、レコードは地域を参照する個別の国々を持つ個別の国または地域であっても構いません。
  • ドキュメントフィールド: 各ドキュメントタイプに関連付けられたメタデータフィールドで、エンドユーザはフィールドに対してオブジェクト値/オブジェクトデータレコードを選択し、管理者はオブジェクトに対応するドキュメントフィールドを設定する必要があります。例えば、製品ドキュメントフィールドが製品オブジェクトに対応し、すべてのドキュメントタイプに関連付けられます。

オブジェクト機能

ドキュメントフィールドのリンキングなどの基本機能とカスタム共有ルールおよびレポートなどのより複雑な機能の両方を含むオブジェクトに関するたくさんの機能が構築されています。

高度オブジェクトレコード選択フィールド

オブジェクトタイプドキュメントフィールドをクリックすると、この選択リストには、最近選択されたデータレコードが最初に表示され、その後ですべてのレコードがアルファベット順にリストされます。子オブジェクトデータレコードを選択する場合、各オプションはその親の下に一覧表示されます。例えば施設を選択すると、親の治験ごとにグループ化されます。

さらに高度検索を使用して目的のデータレコードを探すには、双眼鏡アイコンをクリックします。検索ダイアログからは、検索とフィルタリングによって特定のデータレコードを探し出すことができます。ダイアログレコードグリッド内の任意のフィールドにマウスオーバーすると、Vault は、そのフィールドの値の最大 1,000 文字を示すホバーカードを表示します。子オブジェクトにレコードを選択する場合、Vault は、親データレコードに基づいてフィルタを自動適用します。すべて選択をクリックして使用できるすべてのデータレコードを選択したり、すべて選択を誤ってクリックした場合はすべての選択を解除をクリックして選択をクリアしたりすることもできます。Vault は、ドキュメントに対する関連レコード数の上限に基づいて、すべて選択機能を制限することにご注意ください。

レポート作成

管理者は、オブジェクトレコードについてレポートするためにカスタムレポートタイプを作成することができます(製品、部門、施設など)。これらのレポートタイプを利用して、ユーザは以下のオブジェクトメタデータを表示・エクスポートすることができます:

  • 疾患領域または製品ファミリーのような製品詳細別にグループ化できるすべての製品と関連付けられた、または関連付けられていないドキュメントのリスト
  • 各治験実施国下の施設のリスト
  • 主管部門フィールド別に分類され、各部門の部門コード値が表示されるリスト

添付ファイル

添付ファイルを利用することで、アップロードを行い、ファイルを特定のオブジェクトデータレコードに接続することができます。例えば、ロゴを各製品レコードにアップロードできます。管理者はオブジェクト別に個別の添付ファイルを有効化できるので、関連する場所 (製品レコードのロゴ) で利用でき、必要でない場所では利用できません。

動的アクセスコントロール

動的アクセスコントロールにより、一致共有ルールとカスタム共有ルールを使って、管理者はどのユーザが特定のオブジェクトデータレコードを閲覧、リンク、編集、削除できるかを制限できます。この機能は、例えば製品オブジェクト内の個別の製品や、研究オブジェクト内の研究など、オブジェクト内の個別のレコードに対するアクセスを分離する必要がある組織に対応するものです。管理者が、特定のオブジェクトに対してこの機能を有効化することができるため、組織は他に影響を及ぼすことなく 1 つのオブジェクトにより細かいレベルのセキュリティを提供することができます。

オブジェクトタイプ

オブジェクトタイプとは、単一のオブジェクト内で似ているが同じではないデータをキャプチャするためにグループ化されたフィールドの集合です。例えば、製品オブジェクトは次の 2 つのタイプを含むことができます: 製剤および医療機器。これらのオブジェクトタイプは、略称社内名といったフィールドを共有しますが、製剤用量医療機器モデル番号といった業務目的に固有のデータも有しています。

オブジェクト関係

ドキュメントとの関係に加え、オブジェクトおよびオブジェクトレコードは、互いに関係を持たせることができます。例えば、標準 eTMF データモデルはオブジェクトに階層を与えます: 治験から治験実施国から施設、並びに場所オブジェクトへの参照 (非階層化) 関係。

関係は、単一オブジェクト内のレコード間でも存在できます。例えば、カスタム地域オブジェクトで、組織には、アジア太平洋地域、並びにアジア太平洋地域に階層関係を持つ東南アジア中央アジアオーストラレーシアがあります。

設定可能なオブジェクトレコードページレイアウト

管理者は、データレコード詳細ページ向けにオブジェクト別にデフォルトページレイアウトを変更することができます。この機能を使うと、管理者は、各オブジェクトにあった方法でメタデータの表示を整理することができます。例えば、最終変更者外部 ID などのフィールドは、製品レコードを閲覧しているユーザに関係ないことがしばしばあるので、管理者はこれらのフィールドを製品詳細ページの下部にある個別のパネルに移動させることができます。

フィールドレベルの暗号化

現在、すべての Vault データは安全に保存されます。保護医療情報 (PHI) や個人情報 (PII) などの機密情報の場合、Vault は、管理者がフィールド値に対して有効にできる第 2 レベルの保護を提供します。

Vault は、管理者がこのオプションを有効にしたフィールドに入力された値に追加のセキュリティを提供します。オブジェクト 1 つ当たり最大 10 個のフィールドに対してこのオプションを有効化することができます。

オブジェクトクラス

DAC の最初のリリースでは、アクセスルールをサポートする単一のユーザロール設定オブジェクトが Vault には含まれていました。後で、「オブジェクトクラス」の概念が導入され、ユーザロール設定は、単一のオブジェクトではなくオブジェクトの 1 つのクラスとなりました。一致共有ルールを使用する際、各ユーザロール設定クラスオブジェクトでは、1 つ以上のオブジェクトに一致フィールドを定義することができます

組織は、異なるコンテキストで DAC を使用する場合、複数のユーザロール設定オブジェクトを使用することができます。例えば、VeePharm の eTMF Vault は、治験治験実施国および治験実施施設フィールドを使用してユーザのコンテキストを示すことで、ドキュメントアクセス権限を制御します。同じ Vault で、VeePharm は疾患領域を使用してユーザのコンテキストを示し、製品レコードに対するアクセス権限を制御します。VeePharm に単一のユーザロール設定オブジェクトがある場合、これらのフィールドをすべて含む必要があります。ユーザロール設定クラスを持つ 2 つのオブジェクトを使用することで、各オブジェクトに必要なフィールド数が少なくなり、各オブジェクトのレコード設定が簡単になります。

V17R2 では、ユーザタスクのオブジェクトクラスを使用して動的アクセスコントロールの範囲外で使用できるようにオブジェクトクラスを拡張しました。組織は、ユーザタスククラスのオブジェクトを使用して、作業単位の計画、割り当て、追跡が行えます。例えば、VeePharm は CTMS Vault を使用して治験を管理します。VeePharm は、ユーザタスククラスのオブジェクトを使用して、施設を準拠させるために必要なアドホック作業を追跡することができます。

オブジェクトクラスは複数のオブジェクトに適用することができます。組織はクラスを使用してオブジェクトを設定することができます。それらのオブジェクトには、独自のオブジェクト関係、セキュリティ設定およびカスタム属性がありますが、オブジェクトクラスが定義した標準のフィールドと動作一式もあります。

オブジェクトデータ保存オプション

Vault には、Vault オブジェクト用に標準および大容量の両方のデータ保存オプションがあります。大量または頻繁なトランザクションの場合は、最適化された大容量オブジェクトが使用されます。大容量データ保存オプションでは書き込み性能が高速化しますが、標準の Vault オブジェクトよりも機能セットが縮小し、最適な設定のために技術的な知識を必要とします。このため、このデータストアオプションを使用するにあたり、大容量オブジェクトに関するドキュメントを詳しく確認することが推奨されます。

多言語 Vault 内の Vault オブジェクト

現在、管理者が翻訳を追加できるのはフィールドラベルのみで、オブジェクトデータレコード値は対象外です。例えば、製品名国名のラベルは翻訳できますが、製品と国名 (米国日本) は翻訳できません。