本稿では、CrossLink 使用例に関するよくある一般的な質問の回答をご紹介しています。

CrossLink とは、別の Vault 上のソースドキュメントとして表示可能なレンディションを使用する Vault 上で作成されたドキュメントです。

CrossLink の場合、ソースドキュメントは Vault 上の CrossLink にバインドされる別の Vault 上のドキュメントです。Vault 上のその他の場所のソースドキュメントは、ソースファイルまたはドキュメントのオリジナルコンテンツを参照していることに、ご注意ください。

しばしば、ある Vault のコンテンツが他で必要になります。1 つの Vault から必要なドキュメントのコピーをダウンロードしてから別の場所にアップロードするのではなく、CrossLink により複数の Vault で同じソースコンテンツを再利用し、コンテンツに関する「信頼できる唯一の根拠」を保持することが可能になります。

異なる部門やビジネスプロセスでドキュメンテーションを管理するのは容易ではありません。ドキュメントの複数のコピーが目的の異なるリポジトリに散乱していることもよくあります。これは、異なるバージョンのコンテンツを照合するのにかかる時間や費用だけでなく、コンプライアンスリスクなど、企業にとって大きな問題を引き起こします。

CrossLinks は、コンテンツが別の Vault に必要とされた際に管理されないドキュメントのコピーが使用されることをなくすことで、Vault のコンテンツに関する信頼できる唯一の根拠を提供します。これにより、個別の Vault のユーザはビジネスプロセスのそれぞれの役割に関連する特定のビジネスコンテキスト内のコンテンツを共有でき、コンテンツが組織の他の場所でどのように使用されているかを知っておく必要はありません。

各ユーザは CrossLink を作成するための権限の割り当てが必要になります。その場合でも、表示が許可されたドメイン内の別の Vault とドキュメントしか表示されません。つまり、アクセス権がある別の Vault のドキュメントから Vault 内の CrossLink の作成のみが可能となります。一度作成すると、CrossLink の表示は共有設定に従いその Vault 内で制御されるので、ソースドキュメントのセキュリティの影響を受けません。

CrossLink Vault 内で CrossLink の閲覧権限を有するユーザであれば、開いて閲覧することができます。CrossLink は通常のドキュメントと同じ閲覧権限に従います。CrossLink を閲覧するためにソース Vault 内でソースドキュメントにセキュリティを使用する必要はありません。

ソース Vault へのアクセス権を保有し、ソースドキュメントの閲覧権限がある必要があります。

いいえ。CrossLink は、ソースドキュメントから表示可能なレンディションのコピーを使用します。

CrossLink によって参照されているソースドキュメントを削除しようとすると、バインドされた CrossLink に関する警告メッセージが表示されます。ユーザが削除を行った場合、リンクは無効になりますが CrossLink は残ります。CrossLink は、最後に同期したソースドキュメントからのコンテンツおよびフィールドのコピーを保持し、独立したドキュメントになります。

CrossLink によって参照されるソースドキュメントのバージョンを削除しようとしても、それにバインドされた CrossLink に関する警告メッセージは表示されません。ユーザーが削除を続行すると、CrossLink はコンテンツの最後に同期されたコピーを保持し、ソースドキュメントへのリンクは残ります。ソースドキュメントのバージョン管理が継続される場合、バージョンバインドはソースバインディングルールに従って更新されます。

そのままです。CrossLink はソースドキュメントとは別に存在します。ソースドキュメントへの唯一の変更は、関連する CrossLink ドキュメントのフィールドに CrossLink が表示されないことです。

はい。ソースドキュメントに、同じドメイン内の複数の Vault で複数の CrossLink をバインドできます

いいえ。CrossLink を作成する時、複数のソースドキュメントを選択できますが、各々が独自の CrossLink になります。

CrossLink は、「標準」ドキュメント、プレースホルダーまたは予定ドキュメントにバインド (それらから作成) できます。CrossLink は、バインダー、未分類ドキュメントおよびその他の CrossLink にはバインドできません。

CrossLink を作成する時、デフォルト設定ではソースドキュメントの最新の固定状態バージョンにバインドします。これを最新バージョン (マイナーバージョン含む) またはソースドキュメントの特定のバージョンに変更できます。最新の固定状態バージョンにバインドする時、ソースバージョンの新しいバージョンが利用可能になると CrossLink は自動的に更新されます。

CrossLink ドキュメント フィールドパネルのソースドキュメント詳細セクションで、ソースバインディングルール選択リストを使って CrossLink にバインドするソースドキュメントのバージョンを選択します。CrossLink の初期作成中または作成後に CrossLink ドキュメントフィールドを編集して、バインドされたバージョンを変更することができます。CrossLink が固定状態である場合、バインディングルールを静的から動的に変更できません。CrossLink が固定状態である場合にバインディングを動的に変更するには、CrossLink の新規下書きを作成する必要があります。

はい。CrossLink には常にソースドキュメントとは異なるドキュメントタイプがあります。CrossLink を作成する時、(該当する場合) ドキュメントタイプ、サブタイプおよび分類を選択する必要があります。CrossLink はソースドキュメントとは異なる Vault で存在するので、利用可能なドキュメントタイプは異なります。

いいえ。CrossLink が作成されると、他の新規ドキュメントと同様、バージョンが 0.1 に設定されます。この CrossLink のバージョンは他のソースドキュメントのバージョン (0.1、0.2、1.0、1.1 など) にバインドすることができます。ソースドキュメントの新しいバージョンが作成され動的バインディングの場合、CrossLink が更新されます。しかし、CrossLink のバージョンは、ライフサイクルの進捗状況により変わります。

いいえ。CrossLink には独自のライフサイクルとワークフローがあり、それらは CrossLink に割り当てられたドキュメントタイプに基づいています。別の Vault の他のドキュメントと密接にバインドしていますが、CrossLinks はほとんどの部分で CrossLink Vault で独立したドキュメントです。

いいえ。

デフォルトでは、CrossLink を作成すると、Vault はソースドキュメントに適用されているオーバーレイまたは署名ページをコピーします。管理者の設定に応じて、Vault は、CrossLinks の作成時または更新時に、オーバーレイ、署名ページ、またはその両方を除外する場合があります。CrossLink の表示可能なレンディションをダウンロードすると、Vault には現在の Vault で定義されたオーバーレイまたは署名ページが含まれます。

はい、しかし CrossLink がソースドキュメントの特定のバージョンにバインドされている場合に限ります。バインディングが動的な場合、CrossLink でソースドキュメントの新しいバージョンが同期されるたびに、CrossLink の注釈は消去されます。

有効化されると、システム管理者、企業管理者または Vault 所有者権限を有するユーザは CrossLink を作成できます。他のユーザは、セキュリティプロファイルに管理者が追加した CrossLink 作成権限が必要です。すべてのユーザは、ドメインで少なくとも 1 つの別の Vault へのアクセスと、ソースファイルを CrossLink にリンクするためにドキュメントを表示する権限が必要です。

CrossLink の作成プロセスは、Vault に新規ファイルをアップロードする手順に似ています。大きな違いは、ローカルファイルシステムからファイルを選択するのではなく、同じドメインの別の Vault からソースドキュメントを閲覧・選択する点です。バインダー内の作成メニューから、または既存コンテンツ プレースホルダーを CrossLink に変換して CrossLink を作成することができます。

Vault は、CrossLink ドキュメントのドキュメントアーカイブ機能をサポートしていません。

管理者は、Vault の全般設定で CrossLink を有効にする必要があります。

すべての既存 CrossLink は引き続き存在し、更新されますが、新規 CrossLink は作成できません。既存の CrossLink 構成要素 (ドキュメントフィールド、関係タイプなど) が引き続き存在します。

メインナビゲーションバーから、作成メニュー内で CrossLink を探します。そこで見つからない場合、CrossLink の作成権限が割り当てられていない、または CrossLink が Vault で有効化されていません。

ソース Vault にアクセスできなかったのはなぜですか?

レンディションの取得中に、Vault に「ソース Vault にアクセスできませんでした」というエラーが表示される場合があります。ソース Vault がメンテナンスのために一時停止中である場合、または Vault が削除された場合、Vault はこのエラーを返します。このエラーが表示された場合は、Veeva サポートまでお問い合わせください。

使用例

ソース: eTMF Vault における治験実施ドキュメント:

  • Submissions Vault において、一部の eTMF ドキュメントは規制当局へ提出しなければなりません。治験薬 (IND) および医薬品承認申請 (NDA) への提出が同じコンテンツを含む米国においてはとりわけです。
  • MedComms Vault では、最終研究報告書は医療チームが利用できる必要があります。
  • PromoMats Vault では、最終研究報告書は PromoMats が利用できる必要があります。

MedComms Vault の文献参照:

  • eTMF Vault では、文献参照は治験プロトコルや最終治験報告書をサポートします。
  • Submissions Vault では、文献参照を規制当局へ提出しなければなりません。
  • PromoMats Vault では、文献参照は補完請求をサポートします。

製造詳細 (バッチレコード、仕様、分析証明書など)QualityDocs Vault では:

  • eTMF Vault では、治験薬製造の詳細は eTMF に保管しなければならない場合があります。
  • Submissions Vault では、製造詳細は規制当局へ提出しなければならない場合があります。

Submissions Vault でのラベリングおよび処方情報:

  • eTMF Vault では、ラベリングおよび処方情報が験薬標識のため必要になります。
  • MedComms Vault では、最終的に承認されたラベリングおよび処方情報は、すべての医療チームが利用できる必要があります。
  • PromoMats Vault では、最終的に承認されたラベリングは、プロモーション活動の証憑として必要になります。

PromoMats Vault での販促用資料:

  • Submissions Vault では、とりわけ米国では eCTD 用に販促用資料を規制当局へ提出する必要があります。
  • MedComms Vault では、販促用資料はメディカルサイエンスリエゾン (MSL) チームに公開する必要があります。